あなたはその意味や由来をきちんと説明できますか?ビジネスでもプライベートでも、そのような慣習が徐々に薄れてきている昨今だからこそ、日本人の常識としてしっかりおさえておきたい習慣のひとつです。
大人になって様々な方と関わるようになればなるほど、このような文化や習慣を正しく理解しておくことの重要性を実感するようになるもの。
日本の社会人として恥ずかしくないよう、その意味や背景、相場などを正しく理解しましょう。
目次
お中元の意味
まず、お中元の意味を理解しておきましょう。夏の贈り物というだけではありません。
お中元とは?
お中元は、夏の暑い時期に、日頃からお世話になっている方々に感謝の気持ちと健康を願う気持ち表すために行われてきた、日本に古くから伝わるおくりものの風習です。同じような意味合いでお歳暮という風習もありますが、基本的にその目的は同じで、その目的に差はありません。
お中元は毎年贈るもの
お中元は夏に贈るもの、お歳暮は年の暮れに贈るものですが、それぞれをセットで毎年継続して贈るのが一般的です。基本的には継続して、お中元とお歳暮を毎年2回用意するものと理解してください。
お中元の由来
なぜ日本ではお中元の風習が生まれたのでしょうか。そこには歴史的背景があります。
「中元」の意味とは
中元とは、中国の三大宗教のひとつ「道教」の神様が生まれた日のことを意味しています。
古代中国の道教で神様を【三元】の日に祀っていた習慣がありました。これを三官信仰(さんかんしんこう)といいます。
三元の日というのは3つあり、それぞれの日に神様が生まれたとされています。
- 上元(1月15日)・・・天神様
- 中元(7月15日)・・・慈悲神様
- 下元(10月15日) ・・水宮(水と火を防ぐ神様)
お中元の起源となった行事
上記の三元に日には、それぞの日に神を祝って物を供える風習がありました。そして、日本に伝わる過程で、中元の慈悲神様と、ちょうどその時期の仏教の行事であるお盆の行事の二つが結びついていきました。
そして7月15日に仏様に供える供物を、親戚やご近所に贈る習慣ができ、江戸時代に庶民一般の贈り物の行事として広まったのが今のお中元の起源になりました。
このような歴史的背景から、今でも「中元」とは言わずに、「盆供」「盆礼」と呼んでいる地域もあります。
お中元を贈る相手
両親や親戚におくる
結婚した夫婦の実家同士でおくりあったり、親戚に定期的におくる方もいます。お盆や年末に実家に帰る際に直接渡すケースが多いようです。両親に定期的にお中元として贈り物をしても喜ばれるのではないでしょうか。
上司におくる
今では企業内で上司に贈り物をするのは禁止されている会社も多いようですが、昔は会社の上司に感謝の気持ちを込めて定期的にお中元を贈ることも多かったそうです。
お稽古ごとの先生におくる
お稽古ごとの先生には、普段お世話になっている気持ちをこめてその時期にはお中元・お歳暮を持参してお礼をしましょう。特にピアノやバイオリン、書道やお茶など個人でお世話になっている偉い先生には必ずしましょう。特にプロの偉い先生になるほどこれは必須で、言葉にしなくても常識の行為なんです。
お断りされた場合は、それ以降は持っていかないようにしましょう。
仲人におくる
結婚式で仲人を頼んだ方には必ず贈りましょう。正式には結婚式の直後のお中元・お歳暮の時期にはお宅まで直接品を持参してご挨拶にいきます。ただ、近年は郵送が一般的のようですが、地域などによって異なりますので注意しましょう。
お断りされた場合、お返しを受けた場合は、それ以降は持っていかないようにしましょう。ただし、これも地域によって差がある場合があります。
そのほかのお世話になった方におくる
普段個人的なおつきあいでお世話になっている方がいれば、その方にお礼の気持ちをこめておくりましょう。なかなかお礼をかえせない、形で示したいなどのばあい、お中元とお歳暮は喜ばれるかもしれません。
お中元のシーズン
お中元は、関東なら7月初旬~7月15日まで、関西なら7月下旬~8月15日までに贈るのが一般的です。
ただし、時期は地域によって異なります。贈る人の地域にあった時期に贈るように注意しましょう。
全国の地域別のお中元をおくる時期はこちらの記事をご参照ください。
お中元の値段相場
一般的に、お中元の金額の相場は3,000円〜5,000円程度。贈る人によって値段の目安も異なってきます。
- 家族・親戚・知人:3,000円前後
- 目上の方:5,000円前後
- 特別にお世話になった方:5,000~10,000円
金額はどのくらいお世話になったかによっても変わるのですので、上記を目安にすると良いでしょう。あまりに高額はむしろ相手に遠慮させてしまうことになりますので、よく考えるようにしましょう。
まとめ
お中元は、基本的にお歳暮とあわせて毎年贈る夏の贈り物で、道教の中元の日とお盆の行事があわさってできた日本独特の贈り物の文化です。
世代や立場をこえて、お世話になった方にできるおくりものであるお中元とお歳暮。便利で手軽なコミュニケーション手段があふれる社会になりつつあるいまこそ、こうした日本の歴史的行事を大切にしていくのも、日本の大人同士のおつきあいでは大切なことですね。