暑気払いも納涼会も、暑いから涼んでお酒を飲む会だと思うのですが、少しニュアンスは違うようですね。
夏になると何気なく使っている暑気払いという言葉ですが、冬は忘年会、夏は暑気払いという、飲み会を指す言葉なのでしょうか?暑気払いとは、本来厳しい暑さを凌ぐために様々なことをすることです。つまり飲み会でも、川遊びでも、なんでもいいのです。
ですが、しっかりと意味を知っていないと、うっかり間違えて使ってしまうこともあるので、少し詳しくなっておきませんか?
目次
暑気払いと納涼会の違いは?
さて、職場などでは、真夏の飲み会のことを暑気払いと言いますが、花火大会や屋形船などのイベントなどでは、納涼会と言いますよね。
納涼会は暑気払いと似ていますが、実は少しだけ違うものなのです。
イベント感があるかないかの違い?
納涼会も古く平安時代からある夕涼みの風習です。暑さをしのぐ暑気払いと違い、「ひととき暑さを忘れて楽しめるように、工夫して涼しさを創り出して楽しむ会のこと」になります。
納涼という言葉が使われるのは、花火大会やきもだめし、納涼船などが多く、涼しさを演出したイベント感が強いのが特徴です。
仕事の飲み会が納涼会ではなく暑気払いと言われるのは、飲み会が単なる遊びのイベントではなく、仕事の仲間が集まって「暑いけど頑張ろう!」と士気を高めあう会だからなのですね。
どちらも夏に涼しさを求めているのですが、ニュアンスが少し違うんですね!
暑気払いの別名は?他の呼び方もあるの?反対語もある?
納涼(のうりょう)
先ほども登場した「納涼(のうりょう)」という言葉も別名として有名です。前述した通り全く同じではなくイベント感がある時に使うのがポイント。
こちらは、涼しさを演出して楽しむという意味もプラスされていますよ。
「夕涼み」「涼(りょう)をとる」
現在でも使われることのある「夕涼み」「涼(りょう)をとる」なども、暑気払いと同じような意味です。
夕涼みには、夕方に縁側などで涼むという意味がありますよ。
「消夏(しょうか)」「耐夏(たいか)」「朝涼み」「暑気下し(しょきくだし)」
他にも暑さを凌ぐという意味で「消夏(しょうか)」や、暑さに耐えると言う意味で「耐夏(たいか)」などの言葉もあります。
まだ暑くならない朝の内に涼むことを「朝涼み」、または涼むためにお酒や薬を飲むことを「暑気下し(しょきくだし)」とも言います。
昔の人々があれこれと暑さ対策を考えていたことがうかがえますよね。
暑気払いの反対語は?「暑気寄せ(しょきよせ)」「暑気乞い(しょきごい)」
暑気払いの反対語の意味もこの時期によく使われます。
「暑気寄せ(しょきよせ)」「暑気乞い(しょきごい)」などがあり、暑くなると売上の上がる家電量販店や飲料業者さんの商売繁盛の祈願として使われていますよ。
暑気払いは冬はやるの?寒気払いはある?春の時期は?
実は、古くから寒気払いという言葉は存在していません。「納涼会」に当たる言葉としても「忘年会」と、少し寒い季節とは関係のない印象になってしまいます。
比較的、季節を取り入れたものには「雪見酒」なんて言葉もあるけど、なんだか寒さを楽しんでいるようにも感じますよね。
昔から夏は過ごしにくかった為に生まれた?
暖房のなかった時代、夏に並んで冬も辛かったはずですが、なぜなのでしょうか?実は、当時の人たちにとって、一番すごしにくかったのが夏だったのではないかと言われています。冬は火を焚いたり服を重ねれば、アイデア次第で乗り切ることができます。
ですが夏はどうすることもできないと言うことなのでしょう。当時の家も、夏に過ごすことを中心として作られていたようです。
冬の言葉には、「寒風摩擦」や「寒中水泳」など、寒さに飛び込んで体を鍛えよう!と元気に立ち向かってる雰囲気を感じるものが多いです。
冬だけでなく春、秋にも、季節を満喫している言葉が多く、「払って凌ごう」という発想の言葉が多いのは、夏だけなのです。
それだけ夏が、人々にとって辛かったいうことなのでしょうね。
春に暑気払いはあるの?
しかし、「暑気払いの意味や時期」でも紹介したように現在の暑気払いの意味としては、飲み会の代名詞に考えている人も多いので、春に暖かくなってきて飲み会をしたい場合などに暑気払いと理由をつけて飲み会をしたがる人はいるようですよ。
特に春の時期でもいつもの気温よりも暖かいと感じる時は暑気払いの名目で飲み会をする人がいるようですよ!ちょっと迷惑でしょうか(笑
まとめ
さて、暑気払いについて少し調べてみましたが、いかがでしたでしょうか。
現代の私たちは「真夏の飲み会」という意味で何気なく使っている暑気払いという言葉ですが、その背景には、昔の人々がどのように工夫して暑い夏を過ごしていたのかを、うかがうことができました。
なんとか涼しくしようとあれこれ考えたことで、似た言葉がたくさん生まれ、積極的に夏を楽しもうという納涼会などのイベントも増えたのだと思います。
夏と同様、厳しかったはずの冬には、寒さを凌ごうという言葉が少ないことでもわかりますが、昔の人々は一年のほとんどの季節を満喫して楽しもうとしていたように思います。ですが、夏だけは、どうにもならないほど暑さを感じていたのかもしれませんね。