暑くてバテ気味の夜には、外で冷たいビールなんて最高です。
さて、近年ではほぼ「真夏の飲み会」という意味になりつつある「暑気払い」ですが、これは本当に飲み会のことだけを指す言葉なのでしょうか?古くからある言葉には、その言葉の生まれた季節や、その時期を乗り切るための知恵が詰まっているものです。

暑気払いという言葉にも、きっと昔の人々の生活が詰まっているはずです。では、今回は暑気払いという言葉について少し調べてみましょう。
目次
暑気払いの意味・使い方は?飲み会なの?
最近では、真夏の飲み会の代名詞として耳にする程度になっていますが、この言葉には本来、文字通りの「暑さを払う」という意味があります。
エアコンなどがなかった時代では、夏の暑さで体を壊す人がたくさんいました。暑気という言葉は、漢方などでは暑邪(しょじゃ)と言われ、熱が体内にたまることで、体力や気力を奪い病気になってしまうと言われており、人々はとても気を付けていました。
当時はなんとか体を涼しくして元気になろうと、あれこれとアイデアを出して、夏の暑さを凌いでいたのです。そのいろんな暑さ対策のことを、暑気払いと言いました。
現在は飲み会だが昔は様々な暑さ対策の意味
現在では主に冷たいビールを飲む飲み会のことの代名詞でもありますが、当時の暑気払いは、お酒や薬草茶を飲むこと、行水や打ち水、川で遊ぶこと、風鈴を下げることまで、様々なものを意味していました。
現在でも使い方は合っている?
「今日は、飲み屋で暑気払いしよう!」という言い方はもちろん合っていますし、「暑気払いで海に行こう。」という使い方も、あまり使われませんが、間違いではありません。
暑気払いの時期はいつからいつまで?2024年は?
「五月晴れ(さつきばれ、梅雨の間の晴れ間)」のように、日本に古くからある言葉は、使える時期が限定されているものが多いです。
ですが、暑気払いという言葉に関しては、はっきりと使える期間は決まっていません。暑い季節に暑さを払ったら暑気払いと言ってよいのです。
しかし、目安はあります。大体の目安として言われているのは、夏至から処暑までと言われています。

つまり暑さの厳しい時期に使う言葉と言えるでしょう。
夏至と処暑については別記事で紹介しているのでよかったら合わせてご覧ください。
2024年の暑気払いの時期はいつからいつまで?
前述した通り、暑気払いを使える時期の決まりはありませんが、目安としては夏至から処暑までなので、それに当てはめると2024年は6月21日金曜日~8月22日木曜日になりますね。
暑気払いに食べる食べ物や飲み物ってあるの?

食べ物・飲み物での暑さ対策は、現代でも十分とりいれることができそうですね。
甘酒
甘酒は初詣などでもふるまわれるので、冬に温めて飲むものという印象があります。ですが甘酒は、その栄養価の高さから、夏の健康ドリンクとして古くから親しまれてきたものなのです。
ビタミンB群や、アミノ酸、ブドウ糖、葉酸などを豊富に含む、まさに「飲む点滴」です。冷やして飲めば、夏の体をしっかりサポートしてくれるでしょう。
夏が旬の食材
キューリ、スイカ、ゴーヤなどは利尿作用も高くおすすめです。また、麦も夏が収穫期となるため、暑気払いにはぴったりです。
うなぎ
スタミナをつけると言う意味では、「土用の丑の日」に食べるうなぎも、ビタミンA・B・D・Eが豊富でとてもおすすめです。
韓国にも暑気払いがある?何を食べるの?
ほぼ日本と気候は同じようであろうと思われる、おとなり韓国では、夏場に3日ほど、「伏日(ポンナル)」という暑気払いをする日というものがあります。
日本とは違って、この日にはアツアツの「参鶏湯(サムゲタン)」を食べる習慣があります。
韓国には「熱を以って、熱を治す。」という考え方があり、暑い時には、あえて熱い物や辛い物を食べることで、どんどん汗を出し体温を下げ、夏バテを吹き飛ばしてしまおうという発想のようです。
参鶏湯の鶏肉の中には、高麗人参やニンニク、ナツメなどが入っており、夏のぐったりし体に活力が戻ってきそうですよね。

日本でも、「夏場にあえて辛い鍋を食べたい!」という気持ちになる時がありますよね。これは体の自然な欲求だったのですね。
まとめ
さて、夏になると何気なく使っていた暑気払いという言葉の意味、おわかりいただけましたでしょうか。
現代の私たちは、主に真夏の飲み会の代名詞として使っていますが、本来その背景には、昔の時代にどうやって暑い季節を乗り切ろうかと、あれこれ考えてすごしていた人々の姿が伝わってきますよね。
現代の私たちはエアコンや扇風機に頼り切っていて、冷房が無いと「暑い!!」とすぐこぼしてしまいます。ですが暑気払いの方法は、食べ物や飲み物、ちょっとした過ごし方など様々でした。現代の私たちも、毎日の中で出来そうなことがまだまだたくさんありそうですよね。