お盆は仏教の行事というイメージを抱いていませんか?
正確には、日本のお盆の文化とは中国から由来した仏教と、日本独自の神様をまつる文化である神式の二つが融合してできた独自の文化です。
独自のものとしての習慣となっているいまでは、両者に大きな違いはなく基本的にほとんど同じですが、正式な神式にのっとってお盆をしたいときの作法を詳しく見ていきたいと思います。
1. 神道のお盆とは
基本的には神道と仏教が融合してできたのが現在のお盆の文化ですので、しきたりにはほとんど違いはありません。日本では古来から「先祖崇拝」という考え方があり、先祖を神様として祈りを捧げる文化があります。その先祖をまつるという意味で仏教も神道も共通しているため、それらが融合し現在のお盆のかたちとして確立しました。
先祖崇拝の考え方
日本に伝わった仏教では、「先祖供養」の考え方があります。先祖があの世でまだ存在しており、ときどきあの世とこの世を行き来するという考え方で、あの世の魂が健やかでいられるようにという意味をこめて供養をします。仏教はインドや中国から伝わった文化で、仏教のお盆の考え方はインドが由来となっています。
一方、日本古来の神式にも「先祖崇拝」という考え方があり、亡くなった先祖の霊のやすらぎをお祈りするという考え方があります。仏教の教えが伝わるずっとまえから、日本にも同じような考え方が存在していました。
この二つが非常に似ていることから、お盆も「先祖の魂を迎える」「先祖をまつる」という意味で共通し、融合していきました。
2. 神式では御霊祭と呼ぶ
仏教では故人が亡くなってから初めて迎えるお盆のことを「初盆(新盆)」と呼びます。それに対して、神道では「御霊祭(みたまつり)」「新御霊祭(あらみたまつり)」といいます。
仏教と神道では行事の考え方がことなり、神式ではお盆の他にも、亡くなった日から数えて「毎十日祭(まいとおかさい)」「年祭(ねんさい)」をおこう習慣があり、これらの儀式をすべて「霊祭(みたまつり)」と呼んでいます。中でも、お盆の霊祭は非常に重要なイベントであると考えられています。
3. 迎え火や送り火
現在も行なわれている迎え火・送り火はもともとは神道がもとになってはじまったものです。お盆の時期は先祖の魂がこの世にかえってくるのでそれをお迎えするという考え方ではじまりました。
浄土真宗などの仏教の宗派によっては送り火や迎え火を行わないというのは、もともと神道がもとの行事だからなんですね。
4. 香典の書き方
[出典:http://asukakaikan.jp/]
神式の家で初盆の場合などに御香典をもっていく際は、「霊」「仏」という言葉は一切使いませんので、「御霊前」「御佛前」は使いません。
その場合は「御榊料」「御供物料」「御供」「御玉串料」を使いましょう。
5. お供え物の選び方と並べ方
お供え物にふさわしいものは、お酒・鮮魚(海の幸など)・野菜などがふさわしいでしょう。主に乾物などを供えることが多いので、そのようなものを購入していくと良いでしょう。
仏式では精進料理が中心となるため、肉や魚はふさわしくないと言われていますが、神式のお供え物には魚などもお供えします。
神式のお供え物は、並べ方にも順番があります。神様のいる祭壇の高い方や中央、神様から見て左側が序列が高くなりますので、祭壇の高い中央や左よりから序列の高いものを並べていきます。並べる順番にも食べ物によって決まりがあります。
お酒は瓶子(へいし)と呼ばれる白い瓶の中に入れてお供えし、米や塩は小皿に盛り、魚は頭を必ず中央へ向けるなどの決まりがあります。
6. のし紙の書き方
- お供え物には神式でもかけ紙をかけます。
のし紙は東日本では黒白5本結び切りのもの、西日本では黄白5本結び切りのものを選びます。
表書きは「御供」「奉献」「奉納」と書きます。「御供」が一番一般的でまちがいないでしょう。
7. さいごに
神道と仏教のお盆の違いはさほどありませんので、お盆というのは日本独自の一つの文化であると考えても問題ないでしょう。ただし、神式を重んじている家の初盆の行事に参加するときなどは、上記を参考にしてみてくださいね。