灯籠流し(とうろうながし)の意味を知っていますか?灯籠流しはお盆の時期に行われるイベントで、主に川のある地域を中心に開催されています。海や川に火を灯した灯篭(とうろう)を流し、死者の精霊を送るイベントです。
明かりのついた灯篭を夜に川などに一斉に流すシーンを、ニュースや写真などでも見たことがある方は多いと思います。
では、灯籠流しはどんな意味があるものなのでしょうか。全国で行われいている主な灯籠流しイベントをまとめてご紹介します。
目次
1. 灯籠流しってどんな意味?
そもそも灯籠流しはどんな意味や由来から生まれた文化なのでしょうか。
灯籠とは?
灯篭とは日本の伝統的な照明器具の一つで、文字の通り「灯(あかり)籠(かご)」、つまり「あかりのついたカゴ」を意味しています。明かりはロウソクを使い、その火が風などで消えないように木枠と紙などで囲いをしたもののことです。
神棚(かみだな)などにも使われているもので、灯籠流しで使う灯篭は水面に安定して浮くように灯籠流し専用作られています。
灯籠流しの目的と意味
灯籠流しの目的は、死者の魂をあの世へ送り届けることです。川や海を通ってあの世へかえっていくという考え方から、死者の魂が迷わないようにあかりを目印にして帰ってもらうという意味を込めています。
お盆は先祖や故人の霊がお盆期間中にこの世にかえってくるとされており、お盆の最後には元の世界へかえっていきます。帰るときの目印に「送り火」を焚く習慣があり、灯籠流しもその送り火の一つです。
2. 地域による呼び方の違い
地域によって「灯籠流し」「精霊流し」「万灯流し」「流灯会」など呼び方に違いがあります。
長崎と佐賀では「精霊流し」
全国でも長崎と佐賀でのみ「精霊流し」と呼ばれています。長崎では「万灯流し」と呼ばれるイベントもあります。
精霊流しの代表的なイベントは、長崎市で行われてる精霊流しがかなり大規模で有名な行事です。長崎の精霊流しは長崎出身のさだまさしさんの歌でも有名になりました。
灯籠流しと精霊流しの違い
基本的には死者の魂を川にのせておくるという意味では全く同じものです。ただし、考え方に少し違いがあります。
精霊流しは、死者の魂を贈る送り火の変わりという意味だけではありません。死者の魂が精霊舟と呼ばれる舟にのって街を一通りまわったあと、川にのってあの世に帰ると考えられています。
そのため、川には灯篭だけでなく「精霊船」と呼ばれる装飾された小さな船をながします。死者はその船にのって元の世界へかえっていきます。
3. 全国の主な灯籠流しイベント6つ
全国の主な灯籠流しイベントを6つご紹介します。他にも多くの地域で行われているので、興味がある方は自分の地域のそばで開催されていないか調べてみると良いでしょう。
新潟:柿川灯籠流し
長岡空襲による戦争で亡くなったかたを弔うために、長岡青年会議所の主催で毎年行なわれている。
福島:福島とうろう流し花火大会
阿武隈川で開催される。福島市で最大規模の花火大会も同時に開催される。
横浜:大岡川灯籠流し
横浜の大岡川で開催。主に戦争や震災で亡くなった方を慰霊するために行われ、約500個の灯篭が流される一大イベント。
京都:嵐山灯篭流し
桂川で開催。渡月橋付近から灯篭を流す。8月16日に開催される五山送り火のうち「鳥居形松明」も一緒に見ることができる。
広島:ピースメッセージとうろう流し
元安川で開催。原爆ドームの対岸で流す。広島の原爆など戦争で亡くなった方を慰霊するために行なわれている。
長崎:精霊流し
長崎県長崎市市内中心部の一体でお祭りとして行われる。メインストリートは思案橋~県庁坂~大波止となっており、交通規制も行われるなど有名なイベントの一つ。
まとめ
灯籠流しは死者をおくる送り火の変わりに川にろうそくに火をつけた灯篭を流すイベントです。故人の魂を偲ぶイベントなので、基本的に楽しむイベントではありませんが、同時に花火大会などのお祭りが行われたり、お盆のイベントと並行して行われることがあります。
長崎の精霊流しなどはお祭りのような雰囲気もあり大規模なので、その時期に行く機会があればぜひ覗いてみてくださいね!