7月になると夏休みはもう目前、暑いのもなんのそのと、「今年はなにをして夏を満喫しよう!?」と、ウキウキと計画を立て始めますよね。
多くの人が活動的になり、レジャー、イベントといろいろ外に目を向ける季節です。暑い夏に向かって行動的になる季節に文月…、少しイメージが違う気もしますね。
本当は、文と言う文字から勉強を推測してしまい勉強しないといけない季節なの…?ってなっていませんか?
今回は、和風月名の7月「文月」について調べてみましょう。
目次
「文月」は何月?読み方は?旧暦の場合はいつからいつまで?
勉強、本などを連想してしまう、気候とはうらはらな、少しおだやかな言葉ですね。文月は、ご存じの通りカレンダー上の7月を指しているのですが、本来の期間は少し違いました。
旧暦では6月下旬から8月上旬の期間
本来の旧暦である文月の期間は旧暦の7月になります。
旧暦の7月になるので現在の季節で言えば、6月下旬から8月上旬のことを指しているのです。
現代の感覚では、これから夏が始まるぞ!というタイミングですが、本来はもう夏真っただ中、一番暑い時期のことを言っているのでした。
和風月名はその季節感と大きな関係を持っていることが多いですが、文月という言葉もそうなのでしょうか?それでは次は、文月の意味や由来を探ってみましょう。
文月の意味由来・語源は?
以下、文月の意味由来、語源の説です。
七夕から派生した説
七夕は現在では7月7日ですが、旧暦では少しずれて、8月の中旬辺りに行われていました。地方の七夕祭りは8月にあることでもわかると思います。
七夕の行事では、芸事の上達を祈願して願い事や詩を作って短冊に飾っていました。その風習が「文を広げて晒す月」と言われるようになり「文被月(ふみひろげづき)」から文月になったと言われています。
なんとも奥ゆかしい名前でしたね。
稲がお米を含み始める事から派生した説
お米の収穫が近づき、稲がお米を含み始めるという意味から「穂含み月(ほふくみづき)」、それが派生して「ふづき」となった説があります。
書物を虫干しする習慣から派生した説
この季節には書物を太陽にさらして虫干しする習慣がありました。そこから「文開く月(ふみひらくつき)」となり「ふみづき」となったという説があります。
文月の別名は?他の呼び方もある?
以下、文月の別名、他の呼び方です。
七夕から由来する別名・他の言い方
七夕に由来して「七夕月(たなばたづき)」「七夜月(ななよづき)」とも呼ばれています。
また織姫と彦星が一年に一度愛をはぐくむ月なので、「愛逢月(めであいづき)」という、和名にしては思い切ったロマンチックな言葉もできました。
ちなみに七夕については別記事で紹介しているので興味があれば合わせてご覧ください。
秋の始まりの月に由来する別名・他の言い方
そのため、「初秋(しょしゅう)」「秋初月(あきそめづき)」「新秋(しんしゅう)」などとも呼ばれています。
お盆に由来する別名・他の言い方
お盆に集まって先祖を思うことから由来して「親月(しんげつ・おやづき)」なんて言い方もします。
ちなみにお盆については別記事で紹介していますので興味があれば合わせてご覧ください。
「文月」を季語に使った俳句はどんなものがある?
やはり七夕の夜や夜空を詠んだロマンチックなものも多いようです。
文月や 六日も常の 夜には似ず
七夕の前日、6日のことを詠んだ松尾芭蕉の句です。
七夕が明日だと思うと少し気持ちがいつもとは違って感じているという意味です。
この時代の人々には、七夕が大切な風習だったのでしょう。
文月や 硯にうつす 星の影
正岡子規の句です。使っていた硯の中に夜空が映っているという意味の句です。
不自由なく電気を使える現代では気づきにくい、ロマンチックな場面ですね。
文月や 空にまたるる ひかりあり
加賀千代女(かがのちよじょ)の句になります。まだ明るいのに、月が顔を出して待っているというおだやかな句です。
旧暦の7月あたりは日が長いため、月が「まだかなあ」と待っているように見えたのでしょうか。
まとめ
現代の私たちにとっての文月は、楽しい夏の始まりです。暑さが気になりながらも元気に飛び回る、アクティブな季節ですね。
文月という言葉の背景を調べてみると、昔の人々は、暑さの中で涼やかにおだやかに過ごしていたことがうかがえます。
私たちは「あついあつい!」と思わず口にします。クーラーのない彼らも暑かったはずですが、言葉の意味や俳句にこめられているのは、「この瞬間が涼しいね。」というメッセージが多いように感じます。
私達も見習いたい、古き良き日本の豊かさを感じますね。