お盆には、帰ってきたご先祖の魂を供養するために「お膳」をお供えする習慣があります。そのお膳ですが、並べ方や献立にも細かい決まりごとがあります。
いつからいつまでお供えするのかなどの基本的な知識も含め、あなたはお膳の供え方をきちんと理解できていますか?
はじめてのお盆でどうしていいか分からず恥をかいたり、久々のお盆ですっかり忘れてしまった!ということのないよう、基本的な知識はまとめて勉強しておきたいですよね。
今回は、基本的なお膳の知識、正しい配置の仕方、献立の例などの基本知識から、宗派による違い、お膳の便利グッズなどなどもあわせて一挙にご紹介します!
目次
お膳のお供えの基本
まず、お盆のお膳の意味・お供えする時期などの前提知識を見ていきましょう。
1. 「霊供膳」とは?
お盆のお膳は正式には「霊供膳(読み方:りょうぐぜん)」と言います。霊供膳とは、写真のような仏壇に供える通常より小さなお膳のことで、故人の法事の際や命日などに供えるお膳のことです。「御霊供膳(おりくぜん)」ともいいます。
具体的には、亡くなってから初七日、四十九日、百カ日、祥月命日、月命日、法事、お彼岸などの時にお供えします。お盆も故人の魂がこの世に帰ってくる行事ですので、故人を供養するためにお膳をお供えします。
浄土真宗では故人は浄土で仏となると考えられており、霊供膳は使いません。
2. お盆にお膳をお供えする意味は?
お盆は、故人があの世からお盆期間の4日間だけ現世へ帰ってきて、私たちと一緒に過ごすという行事です。そのため、毎食私たちと一緒に故人が食事をしているように振る舞い、お膳でおもてなしをするという意味が込められています。
そのため、お膳の他にもお菓子やフルーツ、地域によってはお団子やそうめんなど様々なものでお供えし、故人に供養の気持ちを込めるのです。
3. お膳をお供えするのはいつからいつまで?
お供えする期間
お盆にお膳をお供えするのは、8月13日の夜から16日までの4日間です。
16日の夜に送り火で先祖をお送りするまでの期間中、毎食後にお供えします。基本的には毎食お供えしますが、1日1回に省略する場合もあります。
お供えと下げるタイミング
お供えするタイミングは、毎食食事をいただく前のタイミングでお供えをします。いつ下げるのかというのに悩む方も多いかもしれませんが、これは食べ物が悪くならない程度の適度なタイミングで良いでしょう。
仏教ではお供えしたものを仏様からの「お下がり」としていただくことがマナーとされています。夏場なので、食べ物が腐らないうちに早めに下げていただくのが良いでしょう。
4. どんな食べ物を用意するの?
霊供膳は仏教の「不殺生」の教えに従ったメニューで構成され、基本的には肉や魚などの生き物の食材を避けた「精進料理」になります。精進料理は、植物由来の食材や野菜などが中心のメニューです。
お膳の名称・メニュー・向き
実際に、仏膳のそれぞれの器の名称・器に盛り付ける献立・仏様にお供えするときの向きを見ていきましょう。
1. お膳の器の名称
仏膳はフタと器がセットになっており、お膳・器・お箸を全てセットで仏具屋さんなどで購入できます。
[出典:http://item.rakuten.co.jp/]
それぞれの器には、下記のような名前がついています。
[出典:http://butudan358.jp/]
- 飯椀(めしわん):ご飯
- 汁椀(しるわん):お味噌汁・お吸い物
- 平椀(ひらわん):煮込み物
- 高杯(たかつき):漬物
- 壷椀(つぼわん):煮物・あえ物
飯碗は「親椀(おやわん)」とも呼びます。
器ごとに盛り付ける食べ物も決まりがあり、盛り付け方も注意が必要です。具体的にどのような献立にしたら良いのか見ていきましょう。
2. お膳の精進料理の献立と盛り付け方
それぞれの器に盛り付ける具体的な精進料理の献立例と盛り付け方は以下の通りです。
飯椀
基本的に白米のご飯。大盛りにして、上を丸く形を整えてお供えします。
汁椀
お味噌汁またはお吸い物。具は豆腐、おふ、油揚げ、ワカメ、玉ねぎ、季節の野菜等。出汁には昆布などを使い、かつおだしは使いません。
高坏
お漬物。キュウリの塩もみ、梅干し、たくあん、ナス・キュウリ・大根のぬか漬けなど。たくあん等は2切れが原則です。
平椀
煮込み物。人参、こんにゃく、芋類、椎茸、ゆば、きぬさや、高野豆腐、油揚げ、蓮根、えんどう豆、若竹などよ食材から3~4種類の煮物が良いとされています。
煮物の出汁は昆布や野菜等を使用しましょう。
壺椀
煮物やおひたしなど、平椀よりもサイドメニューらしいもの。煮豆、胡麻和え、白和え、おひたし、酢の物等。見た目が小さな山になるように、高さをつけて盛り付けます。
[画像の出典:http://item.rakuten.co.jp/ansindo/sun-syouzin-5set/]
こちらでご紹介しているのは、あくまでも基本の例となります。
実際は、不殺生などのルールを気にしすぎず、故人の好きだったものをお供えするのが良いとも言われています。
また、地域によっても違いますので、その土地のしきたりに従うことをおすすめします。
3. 仏壇にお供えするときの向き
お膳は、お箸を仏壇側に向けてお供えします。召し上がるのは仏様なので、仏様がお箸を取りやすい向きにお供えします。
間違えやすいので注意しましょう。
宗派による並べ方の違い
仏教の宗派によって、配置などに違いがあります。自分の家の宗派をよく確認し、器を並べる時の違いに注意しましょう。
[出典:http://butudan358.jp/]
1. 臨済宗・曹同宗
臨済宗・曹同宗の場合は、高杯を右上に、壺椀を真ん中とします。
2. 浄土宗
浄土宗の場合は、平椀が右上、壺椀が左上にくるように並べます。
3. 真言宗・日蓮宗・天台宗
平椀が左上、壺椀が右上、高坏が真ん中になるように並べます。日蓮宗の場合、仏膳は朱色のものを使います。
実は超簡単!お膳を手軽に用意する方法
いざ実際にお膳を用意する!という場面になったとき、仏膳を揃えるところからメニューを考えて作るところまで、かなり面倒くさそう・・と、考えるだけで白旗をあげたくなってしまうのが正直なところ。
でも、今はインターネット販売や便利グッズなどを駆使すれば、超簡単にお膳の用意ができてしまうんです。
1. お手軽!通販で安く購入できる仏膳セット
Amazonや楽天などで、霊供膳のセットが販売されています。仏具屋さんに行かなくても、名だたる多くの仏具店が各大手通販などにショップを構えています。
安いものでは2千円程度からセットで購入することが可能で、手軽に一式揃えることができます。手軽でスタイリッシュな現代風のものや、格式高いものまで様々なセットがありますので、自分の家にあったものを選んでみましょう。
2. レンジで楽チン!お手軽精進料理セット
Amazonや楽天などで、精進料理のフリーズドライのセットが販売されています。「何を作ったらいいかわからない!」「手軽に済ませたい」などの声に応えてくれる便利グッズです。
初盆などはしっかり手作りが望ましいですが、手間はかけたくないけれど、形式だけでもしっかりしたいという方にはこのようなグッズがお助けアイテムになります。
まとめ
お盆のお膳の基本知識を一通り見てきましたが、いかがでしたか?並べ方や精進料理のメニューなど、現在はなかなか覚える機会も少ないものです。
法事などで今後お膳について悩むことがなくなるよう、今回の基本知識と自分の宗派の特徴などをしっかりおさえておいてくださいね!