8月に入って夏も真っ盛り、「いつまでこの暑さが続くんだ~。」と、クーラーの下でへばっている人も多いでしょう。
暑いのでついついジュースやアイスクリームに手をのばし、ちょっとお腹をこわしてしまうなんてこともあるかもしれませんね。この、非常に暑くて厳しい季節、7月の中旬くらいから8月の中旬くらいまでのことを、暦の上では何というか知っていますか?それは、「三伏」です。
お仕事のメールやお手紙などで、この言葉をちらっと見かけたこともあるかもしれませんが、「三伏」の意味や使い方をちゃんと知っている人は少ないのではないでしょうか。
今回は、真夏を表した言葉「三伏」について調べてみたいと思います!
目次
三伏とは?初伏・中伏・末伏の3つの総称?読み方は?
ちょっとかわいい響きですね。
暦の「三伏」とは、「初伏(しょふく)」「中伏(ちゅうふく)」「末伏(まっぷく)」の3つの総称をさします。
現在でも夏の挨拶や暑中見舞いなどの文面に使われる?
暑中見舞いなどの文面にも使われることがあり、7月中旬~8月上旬の夏のご挨拶に最適です。
「暑中お見舞い申し上げます。」の代わりに、「拝啓、三伏の候」と書きだして「一年でいちばん暑い季節ですね。」という意味を持たせます。
とてもあらたまった言い方なので、公的な文書やビジネス文書、目上の方に出す丁寧な手紙にも使うことができます。見た事がある人もいるでしょう。
反対に、親しい方にはちょっと固いかもしれません。
三伏の意味は?由来は?
秋を降伏させる事から三伏の「伏」は負かすの意味があります。夏が盛んで秋を降伏させるって、とても厳しい暑さが伝わりますよね。
陰陽五行説に由来
毎日の日付は、数字や干支で表されますね。ですが、暦上では十干(じっかん)という「庚・癸(こう・き)」など10の要素で表すこともできるのです。この10の要素はそれぞれ、五行説の「木・水・土・火・金」と、陰・陽のどちらかを「陽」は「兄(え)」、「陰」は「弟(と)」としてあてはめてあります。
例えば「庚(かのえ=金の兄)」や「癸(みずのと=水の弟)」などです。
秋には金の性質があり、陽には「強くなる」という意味があるので、「庚」の日は、「秋が強まる」という意味になります。
ですが、金の性質のもの(秋)は火の性質のもの(夏)に「溶かされる」という理由で弱いと言われており、「三伏」は、「これからやって来る秋が激しい夏に伏している時期」と言われるようになったのです。
三伏はいつからいつまで?2024年の日程は?
「三伏」の日程の決め方には諸説あり、カレンダーや暦によって、少し違うこともあります。
ですが基本的には、太陽が一番長く出ている夏至の日(6月22日あたり)から数えて、3回目の庚の日が「初伏」、4回目の庚の日が「中伏」、立秋の日(8月8日あたり)の後の最初の庚の日を「末伏」としています。
2024年の三伏はいつからいつまで?日程紹介
2024年の三伏は以下の通りです。
- 初伏:2024年7月15日
- 中伏:2024年7月25日
- 末伏:2024年8月14日
初伏・中伏・末伏を合わせてこの1ヵ月くらいを「三伏」と呼びます。
まさに暑さが一番厳しいときと言えそうですよね。
三伏は何する?過ごし方は?旅行や結婚は?
「三伏」の日には、旅行、結婚関連、種まきなどをしない方が良いとされています。新しく始める事は慎む期間とも言われています。
多くの人は、暑い時間には太陽に合わせてすだれの位置を変え、氷柱を立てて家の中でおだやかに過ごしたようです。
中国では三伏の時期に三伏貼を貼り冬の病気に備えた?
陰陽五行に由来する「三伏」ですが、古くから中国では、「夏の間に冬の病気(冷え)を治す。」という冬病夏治(とうびょうかじ)という考え方がありました。
この時期に「三伏貼」という生薬のシップを貼って、発汗を促し体の底の冷えをとり、新陳代謝をアップして冬の季節も健康に過ごしていたというから、本当に頭が下がります。
韓国で、「三伏」の日に、あえてあたたかい参鶏湯(サムゲタン・鶏のスープ)などを食べるのも、同じような理由からです。
現代のわたしたちにはエアコンという強い味方がありますが、あまり冷やしすぎると汗をかけなくなってしまいます。みなさんも適度に汗をかきながら「三伏」の季節を乗り切って、健康な冬を迎えましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?「三伏」という言葉の意味や使い方を、わかっていただけましたか?
「三伏」という字からは想像できない、激しい夏のことを表していましたね。そして、この季節には、昔の人たちが厳しい夏をどうやって乗り越えようかと、あれやこれやと考えて、知恵を絞って過ごしていたことがうかがえました。
わたしたちの生活ではジュースはいつも冷えており、クーラーやハンディファンなど、暑さを凌ぐ便利な道具がたくさんあります。室内に入れば暑さも忘れてしまい、「三伏」という言葉も公式文書で見るぐらいです。
もちろん無理をする必要はありませんが、時には本来の夏の姿を感じて、たくさん汗をかき、体の中心から健康になってみるのもいいかもしれませんね。