この頃に溶け出した水は大地を潤わせ、たくさんの養分をあたえてくれるので「養花雨(ようかう)」と呼ばれていました。
なんともロマンチックですね。人々は、「土公神」という土の神様が、冬の間は庭の土にいると信じていたので掘り起こさないようにしていたのですが、冬も明け大地が潤うので、この時期を迎えると、人々は「農耕を始める時期だな」と思ったと言います。
そもそも二十四節気は、農耕に携わる人々が、季節の変化を知るためのものだったのです。更にこの季節の行事に「ひな祭り」があります。「ひな祭り」はもともと、人形に「穢れ」をもらっていただき、水に流すという行事でした。
ここでも水が出てきました。雛人形は雨水の日に飾ると、水の神様が良い縁を運んでくださると言われています。
女の子がいるお宅は、是非この日に、雛人形を出してみてください。雨水の季節は、大地の恵みの水と、とても深い関係がある季節なのですね。
目次
雨水の日付はいつ?2024年は?
雨水の日付は年によって違います。
2月18日になったり、2月19日になったりしますよ!
2024年の雨水の日は?
雨水の日の例
2017年から2024年までの雨水の日を例として抜粋しています。
年によって日付が違うのが分かりますね!
西暦 | 雨水 |
---|---|
2017年 | 2月18日 |
2018年 | 2月19日 |
2019年 | 2月19日 |
2020年 | 2月19日 |
2021年 | 2月19日 |
2022年 | 2月19日 |
2023年 | 2月19日 |
2024年 | 2月19日 |
2017年は2月18日ですが、それ以降は2024年まではずっと19日になっていますね。タイプミス・・・??いいえ、間違っているわけではないんです。年によっては過去にも18日の年はあり、2017年は18日となります。
では、なぜ年によって日付が変わることがあるのでしょうか。
日付は太陽と地球の位置で決まる
日付がずれてしまう理由は、太陽と地球の位置を固定して日時をあわせて決めているからです。
1年に1回、地球と太陽が決まった位置関係になったタイミングのことを雨水と名付けているので、「2月19日は雨水の日」というように、日付で決めているわけではありません。日付そのもので決まっている「節句」等とは全く考え方が違うのです。
では、どのような位置関係がきまっているのでしょうか。下記の図をご覧ください。
これは太陽の周りを1年間かけて地球が1周回る様子を示しているいる図です。決まった角度の場所ごとに名前がついています。
雨水の位置は、春分を基準にして330度の位置となります。
「でも、1周まわって戻って来る時間は1年なんだから、同じことじゃないの?日付がずれる理由になってない・・」
と思うかもしれませんが、「うるう年」を思い出してみましょう。
1年という「時間」は、実は365日よりも6時間ほど多くあります。そのため、太陽を一周し元の位置に戻ってきたとき、カレンダーより6時間ほど遅れて戻ってきてしまうんです。これにより、毎年天文学的な雨水の時間は毎年ずれていき、それが数年分積み重なって日付もかわります。そして、4年に一度のうるう年で調整されてまた戻る、ということを繰り返しています。
年によって日付が違うことがあるのは、上記のような理由です。そのため、2024年以降も雨水の日は2月18日と19日をいったりきたりを繰り返していきます。
雨水の意味と暦の考え方
雨水の日がどうやって決まるか、ということはなんとなく理解できたでしょうか。でも、「雨水の言葉自体の意味ってなんなんだろう?」という疑問が残りますよね。
「あまみず」じゃないならその意味はなんなのか、どんな意味なのかを詳しくみてみましょう。
雨水とは旧暦の名称
雨水とは、二十四節気(にじゅうしせっき)と呼ばれる暦の季節の名称のひとつです。
毎年2月19日頃の旧暦を雨水と呼んでおり、季節は旧暦の春に該当します。
二十四節気とは?
二十四節気とは、地球から見たときに太陽が1年かけて1周する円を基準として、1年を24等分し約15日ごとに区切ってつけた季節の名称を意味しています。
先ほどの太陽の図をもう一度見てみましょう。
春分を起点に24等分された地球と太陽の位置関係の名前は、位置関係と同時に季節を表していたのです。これが二十四節気とよばれる旧暦の正体です。
24等分して前半を【節(せつ)】、後半を【中(ちゅう)】とよび、それぞれの期間の区切りとなる日に名称ついています。
下記の表は、二十四節気を四季ごとにならべたのものです。雨水は、赤枠の部分となります。
雨水の期間は!?
雨水の期間は2月18日が雨水の日の年の場合は2月18日から啓蟄(けいちつ)の前日の3月4日までの15日間になります。
二十四節気の名称は、特定の一日だけでなく【期間】としての意味もあります。
雨水の前は「立春(りっしゅん)」、立春があけて雨水をすぎると、3月5日からは「啓蟄(けいちつ)」の季節がはじまります。
雨水の意味・季節・由来
厳しい寒さの中降り積もった雪、極寒で凍った湖や海の氷が張るの暖かい気候で徐々に溶け出し、降り続いた雨もやがて雨へと変わります。
この頃からは寒さも峠を越え、春の陽気が感じられるようになります。昔は「雨水」の日を目安にして、農家などはその年の畑仕事の準備にとりかかります。
桃の花が咲き始める時期で、ひな祭りである「桃の節句」も雨水の期間になります。
暦便覧原文
雨水は、江戸時代にこよみを記した書物【暦便覧(れきびんらん)】に
「雪散じて水と為る也」
と記され、雪が溶けて水となる、と説明がされています。
挨拶「雨水の候」はいつからいつまで?
雨水の候(読み方:うすいのこう)とは、冬のはじまりに使われる時候の挨拶です。「雪も溶けだす春の季節となってきましたが」という意味で、手紙などの冒頭に使われます。
雨水の七十二候は?
実は、二十四節気をさらに細かい期間に分けた呼び方もあるんです。
七十二候とは?
七十二候(しちじゅうにこう)とは、二十四節気をさらに3つに分けた期間のことです。古代中国で考案され日本に伝わったもので、二十四節気よりさらにこまかく季節を表している名称です。
15日を5日間ずつの期間に分けて、それぞれ「初候(しょこう)・次候(じこう)・末候(まっこう)」と呼びます。
雨水の七十二候の名称と意味
雨水の15日間のうち5日間ずつ、それぞれの期間に名前と意味がついています。
候 | 名称 | 意味 |
---|---|---|
初候 | 土脉潤起(つちのしょううるおいおこる) | 雨が降って土が湿り気を含む |
次候 | 霞始靆(かすみはじめてたなびく) | 霞がたなびき始める |
末候 | 草木萌動(そうもくめばえいずる) | 草木が芽吹き始める |
「たなびく」とは雲や霞(かすみ)が横に長くかかるという意味です。雪から雨に変わり、草木が再び芽を出しはじめる春の陽気を表現しています。
まとめ
雨水について、読み方・意味・期間などは理解できたでしょうか。背景には二十四節気・七十二候という旧暦の考え方があったんですね。日本の文化は本当にどこまでも奥深いです。
いよいよ春の到来で、春分の日も近づいてくるころの雨水。春を待ち遠しく過ごすのは、昔も今も変わらないのかもしれませんね。