旧暦の「大暑(たいしょ)」という言葉は「立春」「春分」「夏至」などと同じ暦(こよみ)の名称です。しかし、「大暑」は読み方も少し難しく、日常生活ではほとんど聞かない馴染みの少ない言葉だと思います。大暑とは一体いつのことで、どんな意味をあらわす言葉なのでしょうか?暦の考え方などもあわせて、わかりやすく解説していきます!
大暑とはいつのこと?
2017年の大暑の日付
2017年の大暑は7月23日(日)です。
大暑は旧暦で毎年7月23日頃です。ただし、太陽の位置で毎年計算されて日時が決まるため、年によっては22日になることもあります。
2017年以降の大暑の日付
2024年までの大暑は、以下のように日付が決まっています。
西暦 | 大暑 |
---|---|
2017年 | 7月23日 |
2018年 | 7月23日 |
2019年 | 7月23日 |
2020年 | 7月22日 |
2021年 | 7月22日 |
2022年 | 7月23日 |
2023年 | 7月23日 |
2024年 | 7月22日 |
こうしてみると、気になるのが日付の微妙なズレだと思います。なぜ年によって日付がずれることがあるのでしょうか・・??
日付は太陽と地球の位置で決まる
日付がずれてしまう理由は、太陽と地球の位置を固定して日時をあわせて決めているからです。
1年に1回、地球と太陽が決まった位置関係になったタイミングのことを大暑と名付けているので、「7月23日は大暑の日」というように誕生日のように日付で決めているわけではありません。日付そのもので決まっている「節句」等とは全く考え方が違うのです。
日本のカレンダーって同じ日にいろんな行事や呼び方が満載で本当にややこしいですね。。
では、どのような位置関係がきまっているのでしょうか。下記の図をご覧ください。
これは太陽の周りを1年間かけて地球が1週回る様子を示している絵です。決まった角度の場所ごとに名前がついています。
大暑はいつなのかというと、春分を基準にして120度の位置にきたときの日時となります。
「でも、1年に1週ぴったりならずれないはずなんじゃ・・?!」と疑問に思うかと思いますが・・・そこで思い出してほしいのが「うるう年」。
1年という「時間」は、実は365日よりも6時間ほど多くあります。そのため、太陽を一周し元の位置に戻ってきたとき、カレンダーより6時間ほど遅れて戻ってきてしまうんです。これによって毎年大暑の時間や日付が変わり、うるう年で調整されてまたずれる、ということを繰り返しています。
年によって日付がずれていくのは、上記のような理由からです。そのため、2024年以降も大暑が7月22日になる年は定期的にあるのです。
大暑の意味と暦の考え方
大暑っていつ?という疑問が解決したら、次の疑問が「春分や秋分は聞いたことがあるけれど、大暑とか聞いたことのない名前たちって一体なんなんなの?」ということかと思います。それらにもひとつひとつ意味があるのです。
大暑とは季節をあらわす旧暦の名称
大暑とは、二十四節気(にじゅうしせっき)と呼ばれる暦の季節の名称のひとつです。毎年7月23日頃のことを旧暦で大暑と呼びます。
二十四節気とは?
二十四節気とは、地球から見たときに太陽が1年かけて移動する通り道を基準として、1年を24等分し約15日ごとに区切ってつけた季節の名称を意味しています。先ほどの太陽の図をもう一度見てみましょう。
春分を起点に24等分された地球と太陽の位置関係の名前は、位置関係と同時に季節を表していたのです。これが二十四節気とよばれる旧暦の正体です。
24等分して1ヶ月の前半を【節(せつ)】、後半を【中(ちゅう)】とよび、それぞれの区切りとなる日に季節を表す名前がつけられています。上記の太陽の図を四季ごとにならべたのが下記の一覧表です。
二十四節気の大暑の期間
二十四節気では、特定の一日だけでなく【期間】としての意味もあります。2017年の大暑の期間(=六月中)は7月23日から立秋の前日の8月6日までの15日間になります。大暑の前は「小暑(しょうしょ)」、小暑があけて大暑をすぎると8月7日からは「立秋(りっしゅう)」の季節がはじまり、秋へとうつりかわります。
大暑の意味は?どんな季節?
大暑とは、一年でもっとも暑さの厳しい時期という意味です。梅雨明けの本格的な夏の時期をあらわしています。
このころには、ほとんどの地方で梅雨明けまたは梅雨間近となります。太陽の日差しは強く、気温も急上昇し、夏晴れの快晴が多くなります。実際には一年でもっとも暑いのは大暑よりもう少し後の時期になりますが、非常に蒸し暑く、集中的に雨がふることもあります。
大暑の日にあわせて、全国各地で「打ち水」をするイベントも行われています。
大暑は、いよいよ夏本番!という時期なんですね。
暦便覧原文
江戸時代にこよみを記した書物【暦便覧(れきびんらん)】によると、大暑は
「暑気いたりつまりたる時節(じせつ)なればなり」
と記されており、もっとも暑い季節であると説明されています。
「大暑の候」の意味と時期は?手紙やビジネスで注意
「大暑の候」とは、手紙やビジネスの送り状などに書く時候の挨拶で使う言葉です。その意味と期間などを見てみましょう。
「大暑の候」の意味
「厳しい暑さの時期ですが」というニュアンスを込めた夏の時候の挨拶です。
いつからいつまで?
大暑は2017年の場合、7月23日から8月6日まで(立秋の前日まで)を意味していますので、暑中見舞いやビジネス文書、お中元等の時候の挨拶で「大暑の候」を使えるのは、その期間中になります。
使うときは時期に注意
「大暑の候」は、暑中見舞いの期間のうちの後半しか使うことができません。
- 大暑の期間:7月23日〜8月6日(2017年)
- 暑中見舞い:7月7日〜8月6日(2017年)
大暑の時期は暑中見舞いの時期よりおそく始まり、それより前は「小暑」の期間になるためです。大暑より前は「小暑の候」に変えなければなりません。
暑中見舞いに使うならば、送る時期をよく確認してから使うようにしましょう。
大暑の七十二候(しちじゅうにこう)
七十二候(しちじゅうにこう)とは、二十四節気をさらに3つに分けた期間のことです。
15日を5日ずつの期間に分けて、それぞれ「初候(しょこう)・次候(じこう)・末候(まっこう)」と呼びます。
古代中国発祥の季節を表す方式のひとつで、各七十二候の名称は、気候の動きや動植物の変化をさらに具体的に知らせるような短文になっています。
大暑の七十二候は以下のように記されています。
大暑 | 初候 | 桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ) | 桐の実が生り始める |
---|---|---|---|
次候 | 土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし) | 土が湿って蒸暑くなる | |
末候 | 大雨時行(たいうときどきにふる) | 時として大雨が降る |
日本の夏のじめじめとした空気や、大暑の後半の8月にうつりかわりやすくなる天気の様子などが伝わってきますね。
まとめ
大暑について、意味や期間などは理解できたでしょうか。理解するのにここまで様々な周辺知識を必要とするのも、日本の歴史ならではですね。旧暦と新暦は本当にややこしいものです。
日常生活で使うことはまずないですし覚えていなくも困る場面は滅多にないとは思いますが、暑中見舞いの挨拶などのときは少しこの記事を思い出していただき、お役立てていただければ幸いです。