旧暦の「立夏(りっか)」という言葉は「春分」「秋分」などと同じ暦(こよみ)の名称なのですが、日常生活ではほとんど聞かない馴染みのない言葉だと思います。立夏とは一体いつのことで、どんな意味をあらわす言葉なのでしょうか?暦の考え方などもあわせて、わかりやすく解説していきます!
このページの目次
立夏の意味
立夏とは?
立夏(りっか)とは、二十四節気(にじゅうしせっき)と呼ばれる旧暦の名称の一つで、毎年5月5日頃のことを意味しています。
立夏は春分と夏至のちょうど真ん中で、暦の上での夏の始まりとなります。立夏から立秋の前日までが暦では夏季になります。
まだ季節としてはそこまで夏の暑さを感じない時期ではありますが、山にも青葉が目立ち始め、明るく強い日差しもあいまって夏の気配を感じ始める頃です。時には汗ばむくらい気温が上がることもあります。
天文学的には、太陽が黄経45度の点を通過する時のことをいいます。
暦便覧
江戸時代にこよみを記した書物【暦便覧】によると、立夏は
「夏の立つがゆへ也」
と記されており、これは夏らしい気配があらわれてくることを意味しており、「夏がはじまりますよ!」という合図のような意味です。
立夏は「夏立つ」「夏来る」などとともいわれ、夏の代表的な季語にもなっています。
2017年の立夏はいつ?
2017年の立夏は5月5日です。
立夏は毎年5月5日頃ですが、太陽の位置で毎年計算されるため年によっては6日になることもあります。
こどもの日は端午の節句を祝う祝日ですので、立夏とは全く別のものです。
二十四節気とは?
では、立夏の前後の二十四節気の時期と名称もみてみましょう。
二十四節気とは、地球から見たときに太陽が1年かけて移動する通り道を基準として、1年を24等分し約15日ごとに区切ってつけた季節の名称を意味しています。
1年全体を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つの期間に分けて、1ヶ月の前半を【節(せつ)】、後半を【中(ちゅう)】とよび、それぞれの区切りとなる日に季節を表すのにふさわしい名称がつけられています。
立夏の前は「穀雨(こくう)」の季節があり、穀雨があけて立夏をすぎると、5月21日頃からは「小満(しょうまん)」の季節がはじまるのです。
立夏の七十二候
七十二候(しちじゅうにこう)とは、二十四節気をさらに3つに分けた期間のことです。
15日を5日ずつの期間に分けて、それぞれ「初候(しょこう)・次候(じこう)・末候(まっこう)」と呼びます。
古代中国発祥の季節を表す方式のひとつで、各七十二候の名称は、気候の動きや動植物の変化をさらに具体的に知らせるような短文になっています。
立夏の七十二候は以下の通りです。
初候 | 蛙始鳴(かわずはじめてなく) | 蛙が鳴き始める |
---|---|---|
次候 | 蚯蚓出(みみずいづる) | 蚯蚓(みみず)が地上に這出る |
末候 | 竹笋生(たけのこしょうず) | 筍(たけのこ)が生えて来る |
青葉が生い茂る中に日差しがこもれ、土の上ではカエルやミミズなどが活発に活動しはじめている初夏の様子をが目にうかんできますね。
立夏の地球と太陽の位置
太陽黄道(こうどう)とは
黄道とは、地球から見たときに1年かけて太陽が移動する天球(※)上の見かけ上の通り道のことを意味しています。地球を中心に考えた時、1年かけて太陽が地球のまわりをぐるりと一周するときの円を想像してみるとわかりやすいでしょう。黄道は、地球が太陽の周りを一周する公転の描く円と全く同じです。
黄道を360度に分けたものを黄径(こうけい)といい、二十四節気の地球と太陽の位置関係は上記の図のように分けることができます。春分を黄径0度として、15度おきに24の節気が定められています。
0度である春分点を出てから再び春分点に戻るまでの地球からみた太陽の位置と覚えておくとわかりやすいでしょう。
用語解説
※天球(てんきゅう):観測者を中心として、半径が無限に存在する仮想球体のこと。地球から見た空(宇宙)全体のことを意味します。