旧暦の「大雪(たいせつ)」という言葉の意味を知っていますか?「おおゆき」ではなく「たいせつ」と読み、大雪は「春分」「夏至」などと同じ暦(こよみ)の名称です。俳句の季語などでは使われているものの、日常生活ではほとんど聞かない馴染みのない言葉かと思います。
大雪とはいつのことで、どんな意味をあらわす言葉なのでしょうか。今回は、大雪の意味・期間・暦の考え方などもあわせて、わかりやすく解説していきたいと思います。
このページの目次
大雪とはいつ?
2017年の大雪の日
2017年の大雪は、12月7日(火曜日)です。
大雪とは、旧暦で毎年12月7日頃のことです。ただし、太陽の位置で毎年計算されて日時が決まるため、年によっては8日になることもあります。ただし、2027年までは7日の年が続きます。
では、なぜ年によって日付が変わることがあるのでしょうか。
日付は太陽と地球の位置で決まる
日付がずれてしまう理由は、太陽と地球の位置を固定して日時をあわせて決めているからです。
1年に1回、地球と太陽が決まった位置関係になったタイミングのことを大雪と名付けているので、「12月7日は大雪の日」というように、日付で決めているわけではありません。日付そのもので決まっている「節句」等とは全く考え方が違うのです。
では、どのような位置関係がきまっているのでしょうか。下記の図をご覧ください。
これは太陽の周りを1年間かけて地球が1周回る様子を示しているいる図です。決まった角度の場所ごとに名前がついています。
大雪の位置は、春分を基準にして255度の位置となります。
「でも、1周まわって戻って来る時間は1年なんだから、同じことじゃないの?日付がずれる理由になってない・・」
と思うかもしれませんが、「うるう年」を思い出してみましょう。
1年という「時間」は、実は365日よりも6時間ほど多くあります。そのため、太陽を一周し元の位置に戻ってきたとき、カレンダーより6時間ほど遅れて戻ってきてしまうんです。これにより、毎年天文学的な大雪の時間は毎年ずれていき、それが数年分積み重なって日付もかわります。そして、4年に一度のうるう年で調整されてまた戻る、ということを繰り返しています。
細かい計算によって算出されるため、規則的にもどったりずれたりを繰り返すというわけでもありません。2027年まではずっと12月7日の日が続きます。
年によって日付が違うことがあるのは、上記のような理由です。そのため、2027年以降も大雪の日は12月7日と8日をいったりきたりを繰り返していきます。
大雪の意味と暦の考え方
大雪の日がどうやって決まるか、ということはなんとなく理解できたでしょうか。でも、「大雪の言葉自体の意味ってなんなんだろう?」という疑問が残りますよね。そもそも大雪がなんなのか、どんな意味なのかを詳しくみてみましょう。
大雪とは旧暦の名称
大雪とは、二十四節気(にじゅうしせっき)と呼ばれる暦の季節の名称のひとつです。
毎年12月7日頃の旧暦を大雪と呼び、この日から旧暦の冬がはじまります。
二十四節気とは?
二十四節気とは、地球から見たときに太陽が1年かけて1周する円を基準として、1年を24等分し約15日ごとに区切ってつけた季節の名称を意味しています。
先ほどの太陽の図をもう一度見てみましょう。
春分を起点に24等分された地球と太陽の位置関係の名前は、位置関係と同時に季節を表していたのです。これが二十四節気とよばれる旧暦の正体です。
24等分して前半を【節(せつ)】、後半を【中(ちゅう)】とよび、それぞれの期間の区切りとなる日に名称ついています。
下記の表は、二十四節気を四季ごとにならべたのものです。大雪は、赤枠の部分となります。
大雪の期間
2017年の大雪の期間は12月7日から冬至(とうじ)の前日の12月21日までの15日間になります。
二十四節気の名称は、特定の一日だけでなく【期間】としての意味もあります。
大雪の前は「小雪(しょうせつ)」、小雪があけて大雪をすぎると、12月22日からは「冬至(とうじ)」の季節がはじまります。
大雪の意味・季節・由来
大雪とは、「雪が激しく降り始める頃」という意味です。
木枯らしが吹き荒れ、雪がたくさんふりはじめる時期です。特に日本海側では激しくふりはじめ、山もすっかり雪景色一色となっていきます。
暦便覧原文
大雪は、江戸時代にこよみを記した書物【暦便覧(れきびんらん)】に
「雪いよいよ降り重ねる折からなれば也」
と記され、いよいよ雪が降ってつもっていく時期と説明されています。
「大雪の候」はいつからいつまで?
「大雪の候」を使える期間は、大雪の期間中(2017年の場合12月7日から12月21日まで)です。
大雪の候(読み方:たいせつのこう)とは、冬のはじまりに使われる時候の挨拶です。「雪が積もる季節になりましたが」という意味です。
ただ、昔の気候と今の気候の時期は若干ズレがあります。雪が積もる、にまだふさわしくないと思った場合は「師走(しわす)の候」などを代わりに使うとよいでしょう。
大雪の七十二候
実は、二十四節気をさらに細かい期間に分けた呼び方もあるんです。日本の旧暦の攻略は一筋縄ではいきませんね。。この際なので、とことん見ていきましょう。
七十二候とは?
七十二候(しちじゅうにこう)とは、二十四節気をさらに3つに分けた期間のことです。古代中国で考案され日本に伝わったもので、二十四節気よりさらにこまかく季節を表している名称です。
15日を5日間ずつの期間に分けて、それぞれ「初候(しょこう)・次候(じこう)・末候(まっこう)」と呼びます。
各七十二候の名称は、気候の動きや動植物の変化を具体的に知らせるような短文になっています。日本に伝わってからは、日本の季節に合うように変更も加えられており、それぞれ下記のような名称がつけられています。
大雪の七十二候の名称と意味
大雪の15日間のうち5日間ずつ、それぞれの期間に名前と意味がついています。
候 | 名称 | 意味 |
---|---|---|
初候 | 閉塞成冬(そらさむくふゆとなる) | 天地の気が塞がって冬となる |
次候 | 熊蟄穴(くまあなにこもる) | 熊が冬眠のために穴に隠れる |
末候 | 鱖魚群(さけのうおむらがる) | 鮭が群がり川を上る |
熊が冬眠したり、鮭が産卵のために川を上っていくなど、冬の代名詞といえるような情景がそれぞれ描かれているんですね。
まとめ
大雪について、読み方・意味・期間などは理解できたでしょうか。背景には二十四節気・七十二候という旧暦の考え方があったんですね。日本の文化は本当にどこまでも奥深いです。
冬があけたら春はすぐそこ。春を待ち遠しく過ごすのは、昔も今も変わらないのかもしれませんね。